- 作者:柴田文彦
- 発売日: 2020/02/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
一気読みした。
レトロコンピューティングが好きな私にとってはとても面白い内容だった。
ページ数が256ページではあるが、 とにかく内容がめちゃくちゃ濃い (256 ページというページ数にも何らかのこだわりがあるんだろうか?)
6502 の紹介からかなり力を入れていて、個人的には「第4章 6502のインストラクションセット」の各命令表に対して、実行サイクルが加筆されていた、という点が印象的だった。実行サイクルが書いてあると割と CPU の気持ちになりやすい気がする。
グラフィックに関する解説がとにかく力が入っていて、各種モードが詳細に解説されていた。もはや模造品を作れてもおかしくないレベル。
また、Apple Ⅱ (Apple ][) のハードウェア設計、ファームウェア、モニターコマンドにも触れていて、コンパクトかつ高機能な設計に驚かされた。
個人的にはサウンド周りの記述も期待したけど、そこはアッサリ気味の紹介だった。
Apple Ⅱ 上でプログラミングする側(ユーザ)の話なので、たしかにピックアップされると期待するのは変かも ... ?
インテルやモトローラなどの歴史的な関係も書かれており、様々な会社や人達が関わって、 6502 が生み出された、という経緯も丁寧に解説されていて、読みやすかった。
Apple Ⅱの話だから、「スティーブ・ウォズニアックの話が多いんだろうな」と勝手に想像していたが、彼自身の記述はまったくと言っていいほどなく、彼が生み出したプログラムを深く掘り下げて、その醍醐味を味わっていくような流れになっていた。人物像に焦点があたっていたら、集中して読めなかったかもしれない。
6502 と Apple Ⅱ に思い入れがある方の視点には立てない年齢ですが、「ハードウェアとソフトウェアがとても近い位置にいた頃は、こんなにも色々な工夫が隠されていたんだな。(分業だと恐らくここまでゴリゴリ密な実装にできない ... )」と痛感しました。
今では様々な規格が整備されたり、ハードウェアもデファクトスタンダードが決まりつつある今、過去にこういった尽力があった、という世界が垣間見えたのはとても楽しかったです (∩´∀`)∩